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東京高等裁判所 昭和40年(ラ)389号 決定 1965年10月08日

抗告人 高沢志乃

主文

本件抗告を却下する。

理由

本件抗告の要旨は、平山正二を原告、抗告人を被告とする東京地方裁判所昭和三十六年(ワ)第七、八三四号請求異議事件について昭和四十年三月四日に成立した和解調書の第一項及第二項には抗告人が賃借権を放棄した土地の範囲として右調書添附図面表示の赤斜線部分三十五坪と記載されているところ、右図面の表示によればその赤斜線部分の面積は三十五坪二合四勺九才となり、右図面の表示には明白な誤謬があるにかかわらず、これが更正を求める抗告人の申立を理由がないとして却下した原決定は不当であるからこれを取消し、抗告人申立の通り右図面の表示の更正を求める、というにある。

よつて按ずるに和解調書につき更正決定を求める申立を理由がないとして却下した原裁判所の決定に対する抗告は、民事訴訟法第百九十四条第三項の規定に照しこれを申立てることができないものと解するのを相当とする。

(なお、本件和解調書第一項記載の三十五坪の数字には誤謬がなく、同調書添附図面の表示に抗告人主張の通りの誤謬があるとのことは同調書自体からは明かでなく、また冒頭記載の事件の原審訴訟記録について調査しても、抗告人の主張を肯認せしめるに足る資料はなく、原決定は相当であるがその点は兎もあれ)従つて本件即時抗告は不適法であるから同法第四百十四条及第三百八十三条の規定によりこれを却下すべきものとし、主文の通り決定する。

(裁判官 毛利野富治郎 平賀健太 安国種彦)

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